lesson クリアしました。感想ネタバレ
後藤羽矢子です。
お久しぶりです。
paradeの新作「lesson」は購入していたものの、積んでいました。
しかしメールで「lessonはプレイされてますか?プレイされていましたら、是非ともブログにて感想をお聞かせ下さるとありがたいです」との旨いただき、この放置ブログの感想をまだ楽しみにしてくださる人がいるのか~!と嬉しくなって始めました。
前情報は公式で出されてる以上のものは入れてなかったのですが、主人公総攻め、受けはノンケ、体毛にこだわりはわかっていたのでparadeのお家芸~と軽い気持ちで始めたのですが…。
びっくりしました。
これは令和のBLゲーだ!!!
とにかくいろんなとこが隅々まで令和でした。
というわけでこれから感想ですが、もう発売から一か月以上経ってるので折り畳みなしで行きます。
ネタバレもガンガンしますので、未プレイの方はご注意を。
攻略はゲーム内のフローチャートを見れば迷うこともないので省略します。
主人公の河内健人くんは少年院を出て、いまは肉体労働に従事している20歳。家庭環境は相当に悪く、親父を殺すことだけが現在の願いという冒頭のモノローグだけで相当ヘビーな過去を持っていることが伺えます。
そんな彼が仕事帰りの夜道をバイクで走っていて、車と衝突する事故に。
原因は健人くんが角で一時停止しなかったことと、雨でスリップしてしまったこと。目が覚めると病院のベッドで満身創痍。
両腕と片足、肋骨まで骨折してしまっています。
身寄りもなく途方に暮れているところに現れたのが、芳野啓史。事故った車の運転手であり、彼に過失はなかったものの轢いてしまったことへの責任を感じてとのことで、なにくれと面倒を見てくれる。
ここのへんがメチャクチャ丁寧で、ケガを負った身体の痛みや不自由さ、その不自由さをどうフォローすべきかを懇切丁寧に描写している。
「骨折の痛みってちょっと動くだけでも新鮮な痛みが続く」とか、私は骨折したことないけどリアル~~ってわかるし、排泄もひとりじゃ満足にできないから紙パンツを使うようにしたり、BLでそこまで描く必要ある?!というところまで細かく描写しています。
やがて退院が近づくものの、依然両手は不自由で自立歩行もできない、会社が寮として住まわせてくれてるアパートは二階で車椅子で上がることもできない。再度途方に暮れていると、芳野が「俺のところで暮らすか?」と聞く。
さすがに「どうしてそこまで?」と面食らう健人。しかしそれ以外の選択肢はないし、本当にありがたかったので「頼む」と芳野の提案を受け入れる。
ところで。
この作品のキャッチコピーは「獣に愛を。」パッケージの裏面には「人には罰を。」と書かれていて、私は「これは芳野が過去に健人に対して罪を犯していてその贖罪でやっていることでは…?」と勘ぐってしまいました。
全然違ったけどね!!
かくて轢いた男が轢かれた男を介護するふたり暮らしがスタート!
芳野は健人をただ介護するだけてなく、社会生活の基礎までさりげなく教示してくれます。
例えばお礼はきちんと言うこと、部屋をノックされたら返事をし「入っていい」ことを伝えること。
すさんだ家庭環境にいた健人は他者に対して「ナメられないようにすること」が最優先だったわけですが、穏やかな態度でいたほうが穏やかな世界に身を置けるということを芳野は淡々と健人に教える。
根が素直な健人は最初は抵抗を感じつつも、じょじょに社会のルールを身につけ始める…。
そして教えてくれるのはそれだけでなく…後は、わかるな?
芳野の介助で二週間ぶりのシャワー、身体を洗ってもらううちに二週間射精していなかった身体が疼き始め…男の身体事情も当然わかってる芳野は「生理現象だろう?」とベッドで手コキしてくれます。
ちなみに射精シーンについては毎回、精液を受け止めるかぶっ放すかの選択肢が出ますが、これは環境設定で固定化できます。あいかわらずのparadeのこだわり。
それはそれとして、芳野がいかにも作業~って風情で淡々と健人のチンコしごいてるスチルは氷点下すぎて逆に良い。
作業だけどそこは男同士、ツボを押さえたテクニックで健人は昇天。
以降、風呂に入るたびに健人の処理をするのがルーティンになり、そこで風呂に精液を流すと排水溝にこびりついて詰まるというTipsを芳野が教えてくれます。
健人の身体はじょじょに回復し、回復するごとに簡単な掃除や料理など、家での仕事を与えられる。
芳野はただ健人を介護するだけでなく、学もなく常識も人づきあいも教えられることがなかった獣のような青年を社会で生きていけるようにゆっくりと導いて行っている。
掃除は一見キレイに見えているようでも毎日やる。そのほうが結果的には楽。
あああ…耳が痛い!
洗濯物は地層にしない。
ああああああ~~~……!!すいません…万年地層です。
こっちも教えられているような心持ちになります。
これマジでこれから社会に出る若人はプレイするべきなんじゃない?
社会で生きていくのに大事なことが全部詰まってるよ!このゲーム!!
洗濯のやり方も一から丁寧に教えてくれるし!
そんな感じで展開は大きな起伏もなく、健人の回復と日々の暮らしを綴っていきます。合間に入る手コキやオナニーですら興奮を煽る感じでもなく日常のひとコマのように淡々と描かれています。
やがて一方的に抜かれるだけだった健人が啓史にも触れたいと思うようになり…。
なんかこの…セックスが日常と地続きな感じがすごくいいんですよね…。
風呂上りにアイスを食べることも、一緒に餃子を作ることも、フェラチオをすることも悦びとして同等に書かれている感じ。
健人にとってはそれらも初めての悦びであるから当然なんですけど。
やがてぬるっとガチセックスもするようになり、日々充実していたところへ、好事魔多し。義父が会社づてに連絡をとってくる。
この義父が邪悪の塊のような男で、健人含む連れ子だった姉や妹も犯し、ただ性欲が暴走している見境いのないタイプ…というわけではなく、見境はあり、むしろ人心掌握には長けているので運送会社の社長をやり、世間体もよく、そして玩具をできうる限りの残虐さでいたぶりたい男。
そんな男から一時的でも逃れたくて健人は少年院に入ってたわけですが。
動揺し静かにパニくる健人を「お前はもう子供じゃないだろう」と静かに諭す啓史。
啓史は戸籍から除籍して義父と他人になる案を出したり、ここでも色々と教えてくれる。
そして健人もただ啓史によりかかるでなく、自分で考え、自分の意志で義父に会い、義父と決別する意志を伝える。
義父と法的に縁を切り、定時制高校に行くことを決め、いよいよ人生が前向きになってきた矢先───
帰宅した部屋に違和感を覚える健人。
このとき私は義父が部屋に乗り込んできてる?あの義父がこんなにあっさり諦めるはずないし…ヤダーーッ(ちいかわ)と思ったのですが…。
果たして健人が目撃したのはリビングで首を吊っている啓史だった───
なんだこれ──なん…──なんだ…──
私も健人も一緒に茫然となったよ!!!
そして最後のスチルは啓史の遺書と、奥さんと啓史と猫の写真──そしてENDロールが流れて本当にまったく予想もしない結末でした。
ところで、啓史は2匹の猫を飼っており、猫ちゃんの描写はけっこう出てくるのですが、ビジュアルはまったく出てこず「猫ちゃんを見せんかい!!」とじれったく思ってたのですが……やっと出てきた猫ちゃんがこのBADENDのスチルってのがえぐしゅぎ~~。
茫然の一周めが終わると、タイトル画面に「もうひとつのはじまり」という項目が現れます。
今度は啓史視点の物語が始まるわけです。おおおおおおおおおおおおお!!!!
犬を訓練していた母との記憶、大学で知り合った、妻美咲との記憶、淡々とした啓史の語り口は、妻の死をも同じように語っていく。
妊娠中に強姦され流産し、そのショックで衝動的に入水自殺。その理不尽と哀しみも。
逮捕された犯人──少年だった健人への怒りと憎しみも。
それが余計、啓史の心の摩耗を感じさせます。
啓史は健人の裁判を傍聴しながら、彼への復讐を計画する。まだこの獣のように無教養で、善悪もわからない子供のような彼を教育し、罪の重さを「実感」させ生涯苦しむようにと。
えっ……すご!!!
たとえ復讐の炎を燃やしていても、一人の人間を無敵の人として社会に放逐してはならないという意識。啓史の善性と社会性がすごすぎる。
本当の大人が描けている……。
これ以降は同じ出来事を啓史の視点でやり直しているんですが、健人を復讐の相手だけではなく、ちゃんとひとりの人間として観ているし、健人のマイナス面(礼儀がなってないとことか)は家庭環境の劣悪さを鑑みるなど、どこまでも公平。
そして健人視点の一周めだと、昏い目をしたテンションの低い、よつばとのとーちゃんにちょっと似てる男って感じの啓史がいろんな葛藤を抱えているのがわかる…。
ちなみにエロも一周めとやってることは同じだけど、スチルも啓史視点になってるのがお得感がありました。
一周めでは、啓史が首を吊るか、健人が義父を刺し殺すかしかない出口のなさでしたが「もうひとつのはじまり」では、じつは健人がしたのは美咲に襲い掛かるまでで「子供がいる」と美咲が懇願したことで、未遂で逃げたという新事実が発覚します。
このときはの愕然としつつも、平静を装おうとする啓史の表情がいい…。
健人に筋違いの復讐をしていたことの罪の重さに耐えきれず、健人に置手紙を残し失踪する啓史…。
そこからタイトル画面に追加される「あらたなるつづき」
これは完全なる真相ルートで、失踪した啓史を健人が探し出し、さらには真犯人を突き止めるまでを描きます。
で、まあ…真犯人は義父でした。
こいつ立ち絵はセックスしか頭にない性獣みたいな見た目ですが、犯した相手の写真を撮り、ご丁寧に日付と場所まで明記してファイリングしているサイコパス野郎。パワー系で狡猾とか厄介すぎる…!
義父をブタ箱送りにし、すべてが終わってふたりは美咲の墓に手を合わせる。
ラストのやりとりの静かな雰囲気、これぞparade~!って感じでたまらない。
キラルみたいに盛り上げに盛り上げてくる演出も大好きだけど、このさりげなさも染みる…!
そしてこの物語、ふたりがくっつくかどうかではなく、健人がひとりの人間として完成することが最終到達点な気がする。
trueEND以外に、ふたりが肉体関係にならないまま、健人がひとりだちするENDがあるんですけど、啓史も事件の真相を知らないまま、それでも健人が真人間になり、結婚をするということを喜び、自分は「報われた」と感じる。
啓史は根っからの教育者であるんだなあ…。
ていうか教育ってすごいね!
途中で啓史が健人へ「教える」ことの喜びをひしひし感じるシーンがあるんですけど。
自分の教えが、その人を形作り、人生に影響を与え、それがその人のなかに死ぬまで残り続ける……。
これってセックスよりすごいことじゃない?
年寄りが若者に説教したがるわけだよ!!
そんなわけで、すんごい令和で、新しい形のBLを味わいました!
BLは中二とか未成熟がつきものの世界と思ってましたが、近年、成熟したBL増えてきたなあ…。
BLも新しいステージに入ってるということでしょうか。
BLの今後もparadeの次回作も楽しみです!!!

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