ディストピアの王 総評
後藤羽矢子です。
発売から二か月…やっとデ王の総評です。
もうだいぶ時間経ったので隠しなしでいきます。
システムはあいかわらず超快適。ストレスフリーでプレイできる信頼のピルスラ仕様。
今回インストールまでがちょっと面倒でしたが、ディスクレスでプレイでるようになったのはよかった。
タイトル画面恒例の、時間帯でキャラが違うこと語りかけてくれたり、CGの回収率が上がるにつれ激励のお言葉をくれたりも健在。
作品としては…とにかく印我桐久というキャラをこの世界に爆誕させてくれただけで、歴史的に意義がある…という気すらする。
自信家でポジティブでおバカで…と見せかけて、じつは頭いいし育ちもいいし礼儀も思いやりもある。
ここ2年ぐらいのBLゲーで、ずいぶん主人公のキャラ性が変わってきたなーと感じます。
受動的で情緒が未熟…みたいな部分が減って、能動的な主人公が増えてきている…。もちろん受動的で情緒が未熟(ルートによって開花する)な主人公も大好きです。でも作品にはいろんなバリエーションがあったほうが楽しい。
桐久みたいな主人公、本当に新鮮で面白かった。
絵もじつによろしかった。
以前にも描いたけど、シンプルなアニメ塗りながら線画の上手さが際立つ…。ちょっと気になるところといえば、いついかなる時でも桐久の肌の陰がピンクなので、他のキャラと絡んだとき、肌の陰の色味が違いすぎるとこ…。服着てればあんまり気にならないけど、裸のカラミのときはちょっとだけ気になった…。絵の気になるのはそこぐらいかな~!ほぼほぼ眼福のスチルでありがたい…。
お話は、ココイチの辛さレベル並に甘口(半左)から10辛(李京)までバリエーションがあるのがいいです。
庵士→芸能界の闇、半左→Z地区の闇、水明→管理局の闇、そして李京が世界全体の闇というように、信じていたそれぞれの世界がディストピアであることが明かされていく過程が面白かったし、どの世界でもしたたかに生きていく桐久はまさに「王」
タイトルに偽りなしの物語なわけです。
とはいえ…李京ルートを終えると、半左、庵士、水明のHAPPYENDに若干の欺瞞臭が…。
まあ水明はユグドラシルの管理を後任したので、いずれは世界の真実に気づくのかもしれませんが…。
でも水明は真実を知っても、きっと桐久には隠し通すだろうな。両親がしたように。それが桐久の幸せだと思うだろうから。
私は庵士が最推しなので、たとえ欺瞞でも箱庭で幸せに暮らしてほしい…と思ってはいるのですが。
案外、半左も庵士も外の世界でやっていけそうじゃない?
もういっそ全員で外の世界に行って、この世界を音楽で満ち溢れさせるんだ!というのもアリかなと思いました。
荒廃した大地、つかの間の晴天に桐久の歌声が響き渡る…って想像しただけでエモい。
そんな私の妄想はともかく、絵もシナリオも楽しめた大満足の一作でした。
たぶん今後はドラマCDも出るだろうし、派生も楽しみです。
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