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2020年1月 3日 (金)

パウダーグレイ 感想ネタバレ

後藤羽矢子です。

今年のBLゲー初めは、同人BLゲーのpowdergrayでした。

同人ゲームの世界には橋姫で足を踏み入れましたが、商業ではやれないトガった部分も多く、なかなかに楽しい萌えの鉱脈であるなあと思います。

プレイ時間は体感で3時間前後。
漫画でいえば24ページ前後のピリッと締まった短編という感じです。

絵は可愛い系で、背景は潔く線画のみ!ですが、シャレオツな加工がしてあるし、余命いくばくもない主人公の「色を失った世界」の演出として大変よいと思います。

お話はというと。

主人公の窪平さとみくん(23歳)は子供の頃の事故が元で心臓に欠陥があり、常に長く生きられないということを聞かされてきた。

手術や薬でだましだまし延命してきたけれど、とうとう次の誕生日がリミットと宣告されている。
そんなわけで、担当医であり幼馴染である温井文世(27)にお世話になっている日々。
彼は「はるい あやせ」と読むんですが、なんかついつい温井を「ぬくい」と読んでしまい「ぬくい……いや、はるいやはるい!」と心のなかでひとりツッコミを何度もしてしまいました。

そんなある日、慣れない新居の街で迷子になったさとみは、迷い込んだ路地裏で殺人現場を目撃してしまう。
驚愕で凍りつくさとみに、その殺人犯は「あなたに一目惚れしたみたいなんです」と言い放つ……。

その藤原染と名のる快楽殺人者にグイグイ押され戸惑うも、ずっと眠っていた心の琴線に触れられて…みたいな感じ。

さとみくんは、余命短い自分の存在が家族を壊し、人に迷惑をかけていると思っているので自己肯定は低く、表向きやんわりはしているけどいろいろ人として欠けている。
たびたび「この考え間違ってないよな…?」と自問するくだりがあったりで「人並み」を模倣しているようにも見える。

そんなさとみくんを日常に繋ぎとめているのが幼馴染の文世さん…。

「好きになったから殺さない」というサイコパスの手から逃れ、はぐれた文世さんと無事落ち合えたさとみくん。一緒に食事して幼馴染同士も他愛もない会話のほっこり日常シーン。

が…!夜になって、文世さんがさとみの身体を求めてきたあああああ!!!

突然めっちゃナチュラルに濡れ場が始まったのでびびりました…!

なんでも数年前、酔った文世さんとなし崩し的にこうなって以来、時々さとみ曰く「性欲処理に使われている」とのこと。
けれど文世に世話になりっぱなしのさとみくんは、自分の身ひとつで礼ができるなら…とこの関係を受け入れている。

それにしても性欲処理とさとみくんは言ってるけど、最初は文世さんがさとみくんにフェラしてイカせてるし手厚いやん…。

しかし、こういう本人だけが「身体だけ」と思っている関係というのも美味しいものです。

ところで文世さんは27歳ですが、作品世界の絵柄可愛すぎるので、まったくそうは見えない。
しかし神崎智也さんの、やや大人びたボイスが27歳みを添付してくれています。
ぶっちゃけ、このゲームを買った理由の半分は神崎さんです。

数日後、美味いと評判の肉屋のメンチを買いに行くと、そこの店員があの快楽殺人者!!
戸惑うさとみに、素知らぬ振りをするマーダー。しかし殺人者が肉屋って禍々しいな…。そのメンチ、普通の肉だろうな?!

さらに数日後、そのシリアルキラーが仕事仲間のラムシンくんと連れ立って、突然のアポなし訪問!!

その理由が「さとみさんとお近づきになりたいから」というもの。お近づきって、物理で近づくのかよ!

そんな常識を逸脱した藤原染くんWithラムシンの行動に惑乱させられるさとみくん。さらには「見せたいものがある」とさとみを外に連れ出す。ラムシンくんは染くんの恋を応援し隊なので、ふたりきりにしてくれます。

見せたいものというのは、ビル街のイルミネーション。常にくすんだグレイの背景が、ここだけ鮮やかにキラキラしている演出がよい。

さとみくんは「人として」快楽殺人者である染くんを怖れ、警戒している態度でいましたが、染くんに「本当は僕のこと怖れてないでしょう?」と見抜かれてしまう。
そう。さとみくんは死を怖れてはいなく、むしろ望んでいるし、殺される他人を羨ましいとさえ思っていた。
そして染くんは、自分は以前にさとみと出会っているということを告げる。

染が小6のとき、自分のなかに芽生えだした殺人衝動を発露させようと、遠く離れた田舎町の公園で猫を殺そうとする。
そこで会ったのが当時高校生のさとみ。
さとみはうっとりと少年の染に「猫よりも俺を殺して」と囁く。そして彼の殺人衝動を肯定してあげる。

つまりは彼のシリアルキラーへの芽生えに立ち会っていたのがさとみくんで、以来染くんはずっとさとみを忘れられずにいたのでした。

そしてさとみくんは、自分にまっすぐ愛を向けられることの喜びが、彼が殺人者であることを上回ってしまった…。

やがて身体を重ねるふたり……ってええええええ!!!
同じ時間軸でふたりとやっちゃうのか!なんか新しいな!!
ていうか選択肢が出てきてないけど、この話一本道なのかな?
などと思っていると、さとみくんのアナルに指を挿れた染くんが「初めてじゃないんですね」と言う。「嫌か」と問うさとみくんに「むしろエロくて興奮します」と言い放つ染くん。こういうやりとり、既存のBLゲーにはあんまりないから(皆無ではないけど)ちょっと萌える。

常に死を間近にしていたさとみくんは、誰かを想うことも誰かの想いを受け入れることも拒んでいた。けれど染くんの愛を受け入れることに生まれて初めての幸福を感じ、死ぬ前にそれを知れてよかったと想うのでした……。

一方その頃──って感じでさとみくんを案じる文世さんのターンがあって、内心ヒヤヒヤする…。
修羅場の予感しかしないんですけど!

で、ここから先は、まだプレイしてない人の購買意欲を煽るために、内緒にしておきます。まあここまで語っておいて浜村淳の映画解説かよって感じですが。
でも選択肢はひとつだけあります。
そしてどっちもメリバです。

これも同人ゲーだからできる自由!って感じですなあ。個人的には染くんのENDのほうが好きです。

キャラは文世さんのほうが好みだけど…。

あとキャラとしてはラムシンくんがすごく好きだ!ラスト間際のメイク落としたラムシンくんがマイベストスチルです。

そんな感じでかなり楽しめました。

が、まあ言いたいこともチョコチョコ…。
このプロットだったら倍くらいにお話膨らませられたなあ…というもったいなさ。
あとテキストが、一人称と三人称がシームレスに混ぜるのと、視点がけっこうブレるのが気になった…。特にエロシーンにそれが顕著でけっこう戸惑った…。
台詞まわしはけっこう味があって好みな感じなのでそのへんでプラマイゼロという感じではあります。
システム面では、ソフトの起動がみょーーーーーに遅い。あれ起動しないな?とカチカチクリックしてるとえらい目にあいますのでご注意を。
でもまあそれぐらいかな。システム面で商業ゲームと同じレベルは望まない…。

だいたいこんな感じ!

それにしてもこの作品も、シナリオも原画もおひとりがやってるし、あまつさえモブの声までやってる…。
でもひとりが作ってるということは、そのぶん個性が色濃く反映されているということで、これこそが同人ゲームの妙味なんだろうなと思いました。

 

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