咎狗の耳

まずのっけから、普通に美雪が心一に気があるのはわかりますよね。
そしてアオイに対しても最初から「仲良くなれそうにない」ときっぱり宣言しているわけです。

ちゃんとそう言ってるにも関わらずゴリ押しする心一。そしてアオイの距離感無視の接触。言っても言っても話の通じないもどかしさ…。

その後の関係があったまってきた状態に関しても、美雪は友人ではなくおかんのポジションになってたと思った。心一とアオイが手のかかる子供。
もちろんこういう関係性でも友情は育めると思います。
相性がよければ。
でも、美雪が最初に言ってるように、この二人は馬が合わないのです。

居心地がいいと思ってたのは、心一だけ。美雪は絶対にこの関係を早く打破したいと思ってただろうなー。
友人になってからのアオイに「そろそろ私の言うことも聞いてくれないかしら」と言うのは、ポロッと漏れた美雪の本音でしょう。

だからアオイルートに入ってからの、美雪のすべてをぶち壊した凶行は、私のなかですごいカタルシスをもたらせたのです。…はっきり言って…気持ちよかった。

こう書くと私がえげつない人のようですが、まあ否定もしませんが、私は下倉バイオさんは、女のこういう黒いところを「普通の女に普通に備わってるもの」として書いているのがポイント高いのです。
月光のカルネヴァーレのレベッカとかスマガのガーネットとか。

そんなわけで、美雪には対人として異性として恋人として見てたわけじゃなく、感情移入してたわけですから、そりゃ萌えも薄いってもんですよ。最初から最後まで応援はしてましたが。

美雪を選んだ男性はどういう気持ちだったのでしょうか。
この凶行を乗り越えても美雪が愛しいと思ったのでしょうか。
それとも、美雪の濃すぎる情念にひきずられて同情のような気持ちで美雪を選んだのでしょうか。
それともあの凶行は「それはそれこれはこれ」の心持ちだったのでしょうか。

色々考えさせられました。