やがて恋愛にたどり着く物語
松本蜜柑です。
昨日ラメント全体感想を書ききらなかったので、今日まわしにしたら、後藤さんの記事にまさに言いたかったことが書かれており、吐血…。でも書く。耳タコ注意報発令中。
もうネタバレ解禁で折り畳みしていないので、読むまいと思っていてもつい読んでしまいますねー。
してみると、「まだラメントクリアしてないからネタバレいやーん、でも評判は気になるー」みたいな人には、ネタバレでもない部分と超絶ネタバレが渾然一体となった今の「咎狗の耳」はだいぶ危険区域かもしれません。ネタバレじゃないっぽいところを読んでいるつもりが、いつのまにかすごいネタバレに触れてしまう……ってなんか虚ろに侵された森みたいですね!
そうなんですよ、淵井さんの脚本の話ですよ。
今回のラメントで私は、淵井さんの脚本のもともと好きだな−と思っていた部分で、より好きが強化され、そして少しあなどっていた部分(すみません)では、すんごく見直させていただいたのでした。
もともと好きだった部分というのは、後藤さんも書いている、気持ちの動きが丁寧で嘘っぽくないところです。
咎狗なんて、源泉やケイスケルートはともかく、シキさんルートなどはかなりトンデモな展開です。なのに、少なくとも嘘はついていないな、と感じるのです。シキとアキラには気持ちが積み重なるほどの時間も理由もないんだけど、だからこそ積み上がっていないまま、互いの気持ちへの疑問、自分自身の気持ちへの疑問が、そのままエンドマークのその後まで持ち越されている。決して最後でドタバタっとこれが愛なんだ!的に声高に叫ばない。解決しない。 そ こ が い い 。シキさんだけでなく、ナノルートとリンルートも、ラストシーンでまだ二人の間にあるものに「恋愛」という名がつけられない。そういうところが心に沁みました。
ラメントでは、咎狗のときよりはもっときちんと「恋愛」にたどり着く物語を心掛けられたんだと思います。そのため、嘘をつかずに恋愛までもっていくために、気持ちの詰み重ねが本当にみっちり丁寧に描かれていて、本当にきっちり恋愛にたどり着いていました。すごい、なるべくしてなった、という納得の帰結感と達成感が! あたりまえのことのようで、けっこうこういうのを満たしてくれる物語は少ないです。
いや、嘘っぽくてジャンクで押し出しの強いバカッパワーに満ちたトンデモ恋愛ものも、極めればそれはそれで楽しいんですけども。
さて、そして、あなどっていた部分というのは、……コメディセンスなのです。
すみません、マジですみません。私は淵井さんが、こんなふうに、うまいこと作中に笑い分やなごみ分を入れられるかただと思っていませんでした。
もともと、上でも書いたような気持ちの動きの丁寧な作家さんには、私はあまりコメディ分を期待もしないし、こういう人らにはそういうのがまったく欠けていても全然かまわない、と思っているのです。魔法使いのパラメーターは力が低くてもかまわない、魔力が強ければ上等、みたいな。でも淵井さんは魔法戦士だったよママン! どんな魔法を繰り出すのか気をとられていたら、杖でボコスカどつかれたよ……!
考えてみたら、咎狗のタイピングだってすごく笑えたんだし、そういうセンスのあるかただとわかっていてもよさそうなものでした。でも、あれはお遊びみたいなものだったし…と思っていたら、ラメントでは本当にあちこち笑えて、驚いた…。すごくうれしいびっくりでした。だから淵井さん、あーもっと魔法と杖でボコって私を殺してください…。(うっとりとフラウド的に)
そんなわけで、前も書きましたが、私はもう淵井信者でいいです。早く次の作品が出ないかなー。(早っ)
本日の一枚はまたもありえない妄想。ネタバレなのは今さらなんですが、偶然迷い混んできた人の目にとびこんだらいけないかなと思いますので激小さいサムネにしました。
アサトはまだイレズミなしで。父ちゃんはアサトと同じ黒猫にしました。
あ、シマッタ! 父ちゃんの角つきの資料みながら描いたら、うっかり人耳をつけてしまいましたよ。考えてみれば、悪魔になったら今までネコミミだったところに角が生えて、そのかわりにヒトミミができるんですねえ…。
次回以降はようやくルート別感想…って遅!
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